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メグリカワ書房 番外編5 [メグリカワ書房]



彼女はただのOLだった。

一つ、彼女が周りの人間と違うとしたら。
それは、どうしても救わない虚しさを抱いていたこと。

何もかも諦めた彼女は、ネット上の噂から『暗殺を請け負うエージェンシー』に目を留める。

異様に『普通』な、その会社で彼女は自身の暗殺契約を交わす。

勿論、彼女の希望は自分の死であり。
暗殺者の手で、直に首を絞められる方法を望んだ。

絞殺という、ある意味かなりエロティックな方法もあってか、派遣される人間の容貌もある程度は彼女のリクエストに応えることが出来るらしい。

彼女は、いつか打たれるピリオドを『夢のように』待ちわびた。

そして、『彼』が現れた時、彼女は『死んだ』のだ。







私は本を閉じると、店主へ向けてメールを打った。

送信しようか何度か躊躇っている内に、受信を告げる音がした。

何となく挫かれた気持ちになりながら開封する。

From メグリカワ書房
Subject (non title )
『これからも御贔屓に』

私はゆっくりと送信ボタンを押した。









抱いて、そしてそのまま殺して

出版 : 河出書房新社

ISBN : 4-309-01544-1
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