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<書籍案内>世界は調和を求めているか [メグリカワ書房]

はいはい。




突然現れては、オススメ本をふらりと紹介していくメグリカワ書房。

本日も臨時開店でゴザイマス





それは、高校生の頃。
校則が比較的ゆるい学校(逆に言うと勉強だけしていればよかった)に通っていたワタクシは、日々悶々としていました。

別に欲求不満だったわけではなくてね。

自分の居場所があまりにも生温くて。
皆の波長にあわせたとしたら、これ以上ないくらいの心地よい場所だったのだろう。
でも、明らかに自分はカノジョ達には染まれないし、染まろうとも思わない。

何かがジワジワと『模範的な学生のカテゴリー』におさめようと、『自分』を侵食している気がして。

ワタクシは知らず知らずの内に、…いや、きっと意図的だな、はみ出していました。

社会と、公的な自分と、私的な自分と上手く折り合いのつけられない高校生でした。
その頃のワタクシに渡してあげたい本をご紹介致しマス。



著: 伊藤 計劃

『ハーモニー』



(ハヤカワ文庫JA)


ヴィヴァンでやたらと『虐殺器官』の装丁を見かけていたワタクシとしては、どちらかといえばこちらの方が手に取りやすかったのでw

(ちなみにコレ↓が『虐殺器官』の装丁。夢に出そうデス)




『みんな』が『みんな』を互いに思いやる、未来都市。

そんな、『ユートピア』になったのは、『大災禍』という甚だ暴力的な混乱が起きた後のこと。
野獣化してしまった人間をもう一度、『社会性』を持った文明的で理性的な『人間』とする為だった。
そして、一番尊い『生命』を守る為、ある一定の年齢になると『WatchMe』という身体を常に監視する機械を入れるのだ。
身体を害する物は全て悪徳となり、その結果、均一的な『調和』の取れた世界が構築されていた。


優しさだらけの世界に疑問をもった少女、御冷ミァハ。
そして、そんな彼女のカリスマ的魅力に引き寄せられる霧慧トァン、零下堂キァン。
息苦しい社会にささやかな抵抗をする為、三人は、ミァハの造った薬で自死を試みるがミァハ以外は失敗する。
その後、キァンは『世界』に忠実な『人間』となり、トァンはWHO螺旋監察事務局の上級監察官となりつつも小さな反抗の生活を送っている。

ある日、トァンが職務上犯した罪により日本に戻ることとなったが、一緒に食事を取っていたキァンが謎の言葉を残して、トァンの目の前で自死する。

世界中に同時に多数の自殺者。
キァンはその一人だった。
トァンは、真相を求め、ミァハの影を追いかけていく。。。


SFなだけに、世界を理解するまでが少々時間かかりますが。
モラトリアム長めなワタクシたちの世代には、共感する部分が多いはず。

『わたし』は『わたし』で、イコール『わたしのもの』。
でも、それが『社会のもの』となってしまったら。
選択肢は与えられず、全て自明の理でコトが進んでいったら。
『わたし』は必要なのか。

ちょっと、考えさせられる小説でした。
『虐殺器官』が対らしいので、手にとって見たいと思いマス。



たまには、未来的なお品もご紹介するメグリカワ書房。
またのご来店をお待ちしてオリマス。
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