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<書籍案内>やっぱり好きになるほうがつらい [メグリカワ書房]

はいはい。




突然現れては、オススメ本をふらりと紹介していくメグリカワ書房。

本日も臨時開店でゴザイマス





じんぐるべーと鳴り響く、今日この頃。

独り身のワタクシにはまた辛い季節がやってきました。
『辛』と『幸』じゃ、線一本の違いがえらい違いに発展しマスなぁ
まぁ、それはおいといて。

恋愛は、みんなの栄養源であったり。
でも。
毒にもなったり。



というコトで、今回ご紹介するのはこちらのお品



著: やまじえびね

『ラベンダー・ノート』発行: 扶桑社





語られるのは、報われない想い。

無駄だと解っていてもどうしようもない『想い』を、それぞれの主人公達は持て余して。
厭わしく感じて。
それでも、慈しむ。


でもね。
みんな、すがすがしいんだ。
卑屈にはなってないの。



やまじえびねさんのマンガは、クールでスタイリッシュな感じだけど、絶対的な優しさが中心にあってワタクシは大好きデス。



たまには、ピュアなお品もご紹介するメグリカワ書房。
またのご来店をお待ちしてオリマス。

メグリカワ書房 番外編5 [メグリカワ書房]



彼女はただのOLだった。

一つ、彼女が周りの人間と違うとしたら。
それは、どうしても救わない虚しさを抱いていたこと。

何もかも諦めた彼女は、ネット上の噂から『暗殺を請け負うエージェンシー』に目を留める。

異様に『普通』な、その会社で彼女は自身の暗殺契約を交わす。

勿論、彼女の希望は自分の死であり。
暗殺者の手で、直に首を絞められる方法を望んだ。

絞殺という、ある意味かなりエロティックな方法もあってか、派遣される人間の容貌もある程度は彼女のリクエストに応えることが出来るらしい。

彼女は、いつか打たれるピリオドを『夢のように』待ちわびた。

そして、『彼』が現れた時、彼女は『死んだ』のだ。







私は本を閉じると、店主へ向けてメールを打った。

送信しようか何度か躊躇っている内に、受信を告げる音がした。

何となく挫かれた気持ちになりながら開封する。

From メグリカワ書房
Subject (non title )
『これからも御贔屓に』

私はゆっくりと送信ボタンを押した。









抱いて、そしてそのまま殺して

出版 : 河出書房新社

ISBN : 4-309-01544-1

メグリカワ書房 番外編4 [メグリカワ書房]

勝手に拝借した本を読み進めていく内に、『コレ』は私の為に置かれたものだと悟った。


どうしても死にたい女。
それでも、自殺は出来ない女。
救われる事を願いつつも、繋ぐ手を諦めてしまう女。


私そのまま、だ。


これを作為と言わずして何と言おう。


相変わらず何処からか注がれる視線を気にとめつつ。


私はメモと本の代金を文机に置いて、メグリカワ書房を後にした。
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メグリカワ書房 番外編3 [メグリカワ書房]

室内をくまなく探してみても店主らしき人物はいなかった。

というより、この空間に人間は私しか存在しないようだ。

スタッフルームらしきものも見当たらない。



代わりにといっては何だが、どうやら店主のスペースらしい文机には、一冊の本がぽつんと残されていた。





闇の仕事を思わせる怪しげな女のイラストが、なんとなく引っかかって、私はそっとその本を手に取った。
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メグリカワ書房 番外編2 [メグリカワ書房]

意外と近くに在った『メグリカワ書房』。
しかし、裏通りのビルの地下3階って・・・。
やはり怪しい店なのかもしれない。

ひっそりと出されているような看板を確認すると、覚悟を決めて私は入った。


そこはある意味本屋ではなかった。

入口にイームズのアームシェルチェアー。
使い込んでいるのか、脚のスチールが見えてしまっている。

まぁ、それだけなら、ちょっと小洒落た店のようだが、壁には宣材用の高田純次のポスターとクリムトの『接吻』。
全く共通性が見出せないのは気のせいだろうか。。。

しかも、古い本にありがちな酸いたニオイを隠すのと保管の為か、強いお香にかかりすぎた冷房。

何にしても、あまり客を歓迎しているようには見えない。


狭い店舗の中。
所狭しと本が陳列されている。

ただ、普通に見かける本屋とは品揃えが異なっていることだけはわかる。
証拠に古本屋でもないのに、平積みが全く見当たらないのだ。
しかも、それだけでなく、同じ本が二冊以上ないなんて。
ここの店主は、どうも採算度外視でこの店を経営していると思われる。


そうやって、きょろきょろと見回していると、どうも視線を感じた。
でも、私の外には誰も客はいなさそうだし…
カメラが設置されているのでもなさそうだ。


そうだ。
私をここに呼んだ張本人。
店主はいるのだろうか。
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メグリカワ書房 番外編 [メグリカワ書房]

気づくと、郵便受けに入っているDM。
大概私は捨ててしまうのだけれど、『メグリカワ書房』という変わった名前の本屋から届くDMは何故か目を通してしまうのだ。

決して一般受けのする書籍が紹介されている訳でもない。
むしろ、あまり好まれないようなものをわざわざ押しつけている気がする。

普段は単に案内チラシと後払い用の振込用紙だけが入っているだけなのだけれど。

今回は違った。
手書きのメッセージカードが添えられていたのだ。

『良かったら、店舗までいらっしゃいませんか』

男とも女とも判別のつきにくい文字。
そこからは、性別も性格も推し量ることは出来なさそうだ。

アドレスを確認すると、そう遠くは無い。

私は、招かれてみることにした。
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<書籍案内>君も僕を夢想家って呼ぶのかな [メグリカワ書房]

はいはい。




突然現れては、オススメ本をふらりと紹介していくメグリカワ書房。

本日も臨時開店でゴザイマス





正常と異常の境界線って何でしょう?

『狂っていない』
自信を持って言うことが、あなたには出来ますか?

ワタクシには、言いかねマスね。

だって、そんなの、歪んでいて曖昧なんデスもの。


というコトで、今回ご紹介するのはこちらのお品



夢野 久作

『狂人は笑う』
出版社: ちくま文庫、筑摩書房
夢野久作全集8より
青空文庫でも提供されています


作者の夢野久作。
はい。何度もワタクシのブログに出てきマスねー
ワタクシの中では、かなりのポジションを占める作家でもアリマス。


今回ご紹介するのは、この本に納められている掌編の一つ。

語り手は女性と男性、二人居りマスが、立場は違えど、どちらも『閉じ込められている』境遇は同じデス。

彼らがつむぐ繰言。
さて、これを事実ととるか、狂言ととるか。

でも、そのヒトに見えているモノ。
それが『真実』なんでしょうね。

この外にも、かーなーり面白い作品がわらわらしているので、ちまちまと出し惜しみしていきマスので、お楽しみに。


たまには、怪奇趣味なお品もご紹介するメグリカワ書房。
またのご来店をお待ちしてオリマス。

<書籍案内>闇の中の光は救いか堕落への一歩か [メグリカワ書房]

はいはい。




突然現れては、オススメ本をふらりと紹介していくメグリカワ書房。

本日も臨時開店でゴザイマス





ところでワタクシ、女子高出身者だったり致しマス。

ワタクシはまるっきりのオトコ好き(っていうと語弊があるな)なんで蚊帳の外でしたが、そこいら辺で、女の子が女の子にキャーキャー言ってる姿を見かけたものデス。
かくいうワタクシも、後輩から手編みの手袋なんぞをいただいたコトがあるんデスが
まあ、閉塞した空間で一時でも安らぎを得ようとする心理の表れかもしれませんね…



というコトで、今回ご紹介するのはこちらのお品



乾 くるみ

『Jの神話』出版社: 文藝春秋 (2008/11/7)





以前、ログ友のヒサさんがご紹介されていた「イニシエーション・ラブ」の作者のデビュー作デス。
メフィスト賞受賞作品。


全寮制のミッション系女子高が舞台。
新入生の優子が入学してくるトコロから物語が始まりマス。
敬虔なクリスチャンである優子は、同じ信仰組であり生徒会長の朝倉麻里亜に心惹かれていきマス。
チウても、殆ど憧れのようなモノデスがね。
突然、ある朝、その麻里亜が寮の部屋で変死する事件が起こりマス。
原因は生徒達には伏せられたまま。
不審に思った優子は、事件を調べていく内に前年のクリスマス、自分に良く似た雰囲気を持つ少女が転落死していたコトを突き止めるのデス。
彼女が遺書代わりに残したメモには『ジャック』とだけ書かれていました。
『ジャック』とは何者なのか…
麻里亜の死と関係はあるのか…

同時に麻里亜の父親から調査を依頼された黒猫と呼ばれる女探偵も事件を追っていきマス。
そこで明らかになる、麻里亜の姉の死。
そして麻里亜の本当の死亡原因。

これらの事件には繋がりがあるのでしょうか…


まあ、粗筋はこんなものなんデスが。
ワタクシの好きなエログロ系デス(笑)
好きなヒトは好きだけど、嫌いなヒトはホント駄目な系デスな。
かなり、無理のある展開・結末デスが、そこは文章力でカバーされていると思いマス。

ある意味かなりくだらないラストが用意されてオリマスので、是非お楽しみに。


たまには、アブノーマルなお品もご紹介するメグリカワ書房。
またのご来店をお待ちしてオリマス。

〈書籍案内〉スフレのようにお召し上がりクダサイ [メグリカワ書房]

はいはい。




突然現れては、オススメ本をふらりと紹介していくメグリカワ書房。

本日も臨時開店でゴザイマス





一人で居ると。
自分が何者だか解らなくなったりすること、ありませんか?

花びらが散るように。
葉が枯れ落ちるように。

自分の何かがはがれて、どんどん無意味なものになっていきそうな。
そんな気がして仕方ない時が、私にはアリマス。

誰かが存在意義を見つけてくれれば、そうは思わないのかもしれませんが。


というコトで、今回ご紹介するのはこちらのお品



松田桂

『宇宙切手シリーズ』(新潮社)




2年前の失恋(しかも恋人を妹に奪われた)が心に引っかかったまま、時間をただ消費するばかりの主人公、蒼子。
ある日、公園で老紳士と出会う。

何となく、彼と文通を始めることに。
初めての彼からの返事にはセピア色した、若かりし頃の彼の写真が入っていた。
そして、封筒には古い、けれど美しい5円切手。
その切手には、彼の色々な思いが詰まっていた。



こちら、R-18文学賞の読者賞をとった作品のようデスが。

過激な性描写は皆無デス。

正直、ストーリー展開も有りがちだし、文章もどこかでみたコトのあるような感じなんデスけどね。

ただ。
今のワタクシの心には、凍てついたワイパーに熱湯をかけるが如くだった訳で。
むしろ、あまり巧くない作品だったからこそ染みていきました。

誰かに必要とされること。
誰かに『見つけて』もらうこと。

自分一人では出来ないことだから、尚更愛しい。

久々に、読んだ後にほんのりとあかりが灯るような、作品でした。


たまには、ウェルメイドでハートウォーミングなお品もご紹介するメグリカワ書房。
またのご来店をお待ちしてオリマス。

<書籍案内>裏の裏は表。裏の裏の裏の裏には何がある? [メグリカワ書房]

はいはい。




突然現れては、オススメ本をふらりと紹介していくメグリカワ書房。

本日も臨時開店でゴザイマス





亡くなって約40年。

今だ尚、君臨し続ける彼。
学生時代、国語の授業で強制的に彼の文章を読んだ経験のある方もいらっしゃることでしょう。

彼の文章や意識に関して謎に思う方もワタクシだけではアリマスまい。


というコトで、今回ご紹介するのはこちらのお品



橋本 治

『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(新潮文庫)




ワタクシの個人的な感覚で申し訳ないのデスが。
三島由紀夫の文章について、たまに不愉快すら感じる時がアリマス。

三島特有の何重にも敷き詰められた修飾。

ソレは。
美しくはあるけれども、一体その底には何があるのか、不気味に思えるのデス。



そんな疑問を橋本治氏が氏なりの観点で解き明かしていマス。


結局、三島は『何かを愛するコトが出来なかった人物』であり、その修辞(レトリック)は論理(ロジック)だったと橋本氏は位置づけマス。


ワタクシは三島賛美者ではない代わりに、橋本氏の論じるコトも全てだとは思いません。


ただ、三島の文章に感じる不愉快さについては、コレで少し納得が出来たような気がしました。
あくまで、気がしただけデスよ。


中が『虚』だからこそ、ロジックで固めなければ、『自分自身』を保つコトが出来ない。
しかも、ロジックはロジックであるコトを隠さなければ「いけない」から、必要以上のレトリックを重ねなければならない。


つまりは、三島の描く『自分』もしくは『自分を反映した人物』に対して、ワタクシは同類嫌悪のようなモノを感じていたのだと、思いました。


アナタは一体、この論評を読んで、どうお感じになられるでしょうか。

いや、三島は愛を知らず与えるコトも出来なかった訳ではなく彼一流のただの意地悪だった、そう考える方もいらっしゃるコトと思われマス。


当たり前の話デスが、どう感じ取っても自由なのデス。

それが、書いた者の手を離れた文章の宿命であるのデスから。


たまには、謎が更なる謎を呼ぶお品もご紹介するメグリカワ書房。
またのご来店をお待ちしてオリマス。
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